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オリオンビールの「正しさ」について

おーりとーり、八重山HUBレンタカーのマツイです。
オリオンの歴史
沖縄に行くと、なぜか無条件で飲みたくなるビールがあります。
そう、オリオンビールです。
冷静に考えると、少し不思議ですよね。
全国どこでもビールは飲めますし、もっとコクがあるとか、もっとキレがあるとか、
理屈だけで言えば選択肢はいくらでもあります。
それでも沖縄に来ると、人は迷わずオリオンを頼んでしまう。
しかも昼から。いや朝から。そして謎に罪悪感ゼロで。
これはもう、単なる味だけの話ではありません。
オリオンビールが生まれたのは1957年。
まだ沖縄が日本に復帰する前、アメリカ統治下の時代のことです。
戦後の焼け野原から復興するには、自分たちで産業を興さなければならない。
そんな、いわば「ローカルの意地」と「沖縄への愛」からこのビールは始まりました。
資本も規模も、世界的なメーカーには敵わないかもしれない。
それでも、「自分たちのビールを自分たちで飲みたい」という、
シンプルで力強い動機がそこにはありました。
このエピソードだけで、もう好きになってしまいませんか?
正直に言うと、オリオンビールは「通好みのビール」ではないかもしれません。
口当たりは軽く、驚くほどあっさりしています。
ビール評論家が真顔でスペックを語り出すと、少し分が悪いかもしれません。
でも、です。
かつては「味が薄いのは技術が未熟だからだ」なんて言う人もいました。
でも、それは大きな誤解です。
オリオンはあえて副原料(米やコーンスターチなど)を巧みに使うことで、
この独特の「軽快さ」を作り出しています。
これは手抜きでも技術不足でもなく、高度なバランス感覚が必要な設計なのです。
想像してみてください。
沖縄のまとわりつくような湿度、高い気温、照りつける日差し。
そして、ラフテーやチャンプルーといった、意外と脂っこくて味の濃い沖縄料理たち。
あの環境で、重厚なビールを飲み続けるのはちょっとしんどいのです。
料理の脂をさらりと流し、乾いた喉を潤すためには、ドシッとした重さではなく、突き抜けるようなキレが必要でした。
つまり、この軽さは沖縄という環境で美味しく飲むために計算し尽くされた「必然の味」だったのだと、最近強く思います。

オリオンは、
「(スペック的に)美味しいビール」というより、
「(沖縄にとって)正しいビール」なのです。
オリオンとアサヒ
時代が進み、オリオンは大手資本と提携し、経営体制も変わりました。
2002年、オリオンビールは アサヒビール と資本業務提携を結びます。
この話を聞いて、「沖縄のビールじゃなくなるんじゃないか」と感じた人も、きっと少なくなかったはずです。
ローカルの象徴が、大手と手を組む。
これは日本各地で何度も見てきた光景です。
味が変わる、顔が変わる、そして気づけば“どこにでもある商品”になっていく。
そんな未来を想像してしまった人もいたでしょう。
でも、結果は少し違いました。
アサヒは、前に出なかったのです。
オリオンを「アサヒ流」に塗り替えるのではなく、
製造や品質管理、流通といった“裏側”で支え、
ブランドの語り方や沖縄らしさの表現は、きちんとオリオンの手に委ねました。
これは、簡単なようで実はとても難しい選択です。
大手の「正解」を持ち込めば、短期的には効率が上がる。
でも、それをやらなかった。
その結果、オリオンは消えませんでした。
むしろ、県産の大麦を使ったり、沖縄ならではのチューハイを開発したりと、
「沖縄らしさ」を以前よりも堂々と、はっきりと打ち出すようになったのです。
ここが面白いところです。
グローバル化や効率化の波の中で、
多くのローカルブランドは個性を消して“無難な顔”になっていくことが多いものです。
なのにオリオンは逆に、「はいはい、うちは沖縄ですけど何か?」という顔をし始めました。
これは戦略であり、同時に覚悟でもあるのでしょう。
観光客向けの商品でありながら、ちゃんと地元の人が日常的に飲んでいる。
このバランスを保ち続けているのは、実はすごいことなんです。
結局のところ、オリオンビールの最大の魅力は、味でも、歴史でも、ブランドデザインでもなく、
“場をつくる力”にあるのだと思います。
テーブルにオリオンがあるだけで、その場の空気が少しゆるむ。
「まあまあ、細かい話はあとで」という、優しい時間が流れ出す。
オリオンのあの缶の色は、沖縄のピースフルな空気そのものです。
ビールは思想を語りません。
でも、そこには確かに思想がにじんでいます。
オリオンビールは、「他と競って勝ちにいく」という道を選びませんでした。
東京の基準に合わせず、世界のど真ん中も狙わず、沖縄という場所に、しっかりと根を張ることを選びました。
だから今日も、沖縄でオリオンを飲むと、少しだけ自分がやさしくなれる気がするのです。
それで十分ではないでしょうか。
ビールなんて、そもそもそれでいいのですから。
【付録】沖縄の居酒屋で語りたい!オリオンビール小ネタ帳
沖縄の夜、オリオンビールで乾杯する時にちょっと披露できる雑学を集めました。
その1
「オリオン」の名付け親は、一般の県民だった 実はこの名前、創業当時の一般公募で決まったものなんです。応募総数は2,500通以上。「沖縄の空に輝くオリオン座のように、人々の希望になってほしい」という願いと、当時統治していたアメリカ人にも発音しやすいという理由で選ばれました。
その2
ロゴの「色」には意味がある オリオンビールのロゴといえば、3つの星と「Orion」の文字。あの3つの星は、もちろんオリオン座の三つ星を表しています。実は、あの配色にこそ沖縄らしい意味が込められているんです。公式サイトによると、「赤」は沖縄の燃える太陽と情熱を、「青」は沖縄の青い海と空を表しているそうです。沖縄の自然そのものが、あのデザインになっているんですね。
その3
沖縄流の乾杯は「カリー!」「乾杯!」もいいですが、沖縄らしくいくなら「カリー(嘉例)!」と言ってみましょう。「おめでたい」「縁起がいい」という意味の言葉です。オリオンビールを掲げて「カリー!」と言えば、地元の人ともすぐに仲良くなれるかもしれません。
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